山林の登記面積と実測面積が違っていても、差があるだけで登記が誤りとは決められません。古い測量や図面、境界標の消失、今回の測量で採用した境界点の違いが影響するためです。
最初に、登記事項証明書の地積、法務局の地図・図面、地積測量図の備付け、過去の境界資料を同じ地番で照合します。現地では境界標の有無と、実測図がどの点を結んだものかを確認してください。
売却や相続を予定している、差が大きく見える、隣地所有者と境界認識が異なる場合は、数字だけで契約や登記を進めないことが大切です。資料を整えて土地家屋調査士へ相談し、筆界が不明なら管轄法務局の筆界特定制度も検討します。
もくじ
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面積差を見つけたら最初に確認する4点
面積の大小を比べる前に、同じ土地と同じ境界を前提にした数字かを確かめます。次の4項目を順番に整理すると、追加の測量や登記が必要か判断しやすくなります。
- 登記事項証明書で地番、地目、地積を確認する
- 法務局の地図・図面と地積測量図の備付けを確認する
- 過去の測量図、境界確認書、市町村の地籍調査状況を探す
- 現地の境界標と、今回の測量で採用した境界点を照合する
地積測量図は、すべての土地に備わっているとは限りません。見つからない場合も、登記記録、法務局の地図、古い契約書、隣接地との確認書をまとめます。見つからなかった資料もメモし、土地家屋調査士へ伝えてください。

山林の登記面積と実測面積が違う主な原因
原因は一つとは限りません。資料の作成年代、現地に残る境界の手がかり、測量時に採用した点を分けて確認すると、どの違いが面積差につながったのかを絞り込みやすくなります。
古い測量・図面の精度が残っている
登記簿の地積は、土地が最初に登記された当時の測量をもとに記録されています。国土交通省も、登記所の地図や図面には明治期の公図などを基にしたものが残り、現実と異なる場合があると案内しています。
古い山林では、現在の機器とは異なる方法で測られた記録や、縮尺の小さい図面しか残っていないことがあります。傾斜や不整形な区画では、同じ境界を測ったつもりでも、過去と現在の成果に差が表れやすくなります。
境界標が失われて現地で線を再現しにくい
山林では、杭や石などの境界標が風化、倒木、土砂の移動で見つからなくなることがあります。木や作業道、尾根、沢を目印に管理していても、その位置が登記上の筆界と一致するとは限りません。
境界標が失われると、図面上の線を現地へ当てはめる手がかりが減ります。隣接地の所有者が複数いる山林では、資料収集や立会いの調整も必要になり、面積の確認に時間を要する場合があります。
縄伸び・縄縮みは差の状態を表す呼び名
一般に、実測面積が登記面積より大きい状態を「縄伸び」、小さい状態を「縄縮み」と呼びます。ただし、これは面積差の状態を示す言葉であり、差が生じた原因を単独で証明するものではありません。
先祖代々管理してきた範囲と登記上の筆界が一致していない可能性もあります。長年その範囲を管理してきたからといって、直ちに登記上の権利関係が変わるとは限りません。
現況を測った数字だけで登記を直さない
「実際に測った数字だから正しい」とは、測量の目的を確認せずには判断できません。現況を把握するための測量と、資料や隣接地の確認を踏まえて筆界を明らかにする調査・測量では、前提が異なります。
面積は、採用した境界点を結んで算出します。塀や植栽、作業道の端を仮の線として測った数字と、登記所資料や現地状況、立会いなどを踏まえた測量成果を同じものとして扱わないことが重要です。
- 塀、植栽、作業道の位置だけを筆界と決めつけない
- 公図や森林計画図だけで境界が確定したと判断しない
- 長年管理してきた範囲を、そのまま所有権の範囲と決めつけない
土地の境界には、登記された際に区画された「筆界」と、所有権の及ぶ範囲を示す「所有権界」があります。両者は一致することが多いものの、別の概念であり、当事者の合意だけで筆界を自由に変更することはできません。
面積差を直す前に、どの筆界を基に測った数字かを確認します。境界や権利をめぐる認識が食い違う場合は、数値の大小だけで有利・不利を判断せず、筆界の位置と所有権の範囲を別々に確認してください。
ズレへの対処は目的別に3つ
何を解決したいかで対処が変わります。「面積の根拠を整理したい」「登記地積を直したい」「不明な筆界を調べたい」のどれに当てはまるかを決め、次の表で進み先を確認しましょう。
| 目的 | 選択肢 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 境界と面積を整理 | 土地家屋調査士へ測量相談 | 法務局資料・境界標 |
| 登記地積を直す | 地積更正登記 | 筆界・測量成果 |
| 不明な筆界を調べる | 筆界特定制度 | 申請資料・管轄法務局 |

境界と面積の根拠を測量で整理する
売却や相続の前に境界と面積の根拠を整理したい場合は、土地家屋調査士へ資料を見せて測量の目的を相談します。表示登記に必要な調査・測量と、その申請代理を扱う専門家です。
依頼時は、登記事項証明書、法務局の地図・図面、過去の測量図や境界確認書、現地写真を渡します。山林の測量は地形や広さの影響で費用も期間もかかりやすく、隣地所有者が複数いる場合は立会いや合意形成にさらに時間を要することがあります。
筆界が確認できたら地積更正登記を検討する
地積更正登記は、登記記録の地積を正しい地積へ改めるための手続きです。面積差が見つかっただけで自動的に行うのではなく、筆界を明らかにし、測量と地積測量図などの資料を整えて申請します。
地積更正が必要かは、売却条件、将来の分筆、地籍調査の成果、資料の状態によって変わります。登記を直す目的と必要性を土地家屋調査士へ伝え、作業範囲と費用負担を確認してください。
筆界が不明なら筆界特定制度を検討する
筆界特定制度は、裁判を経ずに法務局の筆界特定登記官が筆界を明らかにする仕組みです。新しい線を作るのではなく、資料や実地調査、測量などを踏まえて、もともとの筆界を特定します。
この制度が対象にするのは筆界であり、所有権の範囲そのものを決める手続きではありません。隣地との争点が所有権界や取得時効に及ぶ場合は、土地家屋調査士だけでなく、弁護士など法律の専門家への確認も必要です。
売却・相続前に確認する契約と資料
山林の売買では、登記面積を基準にする契約と、実測面積を基に売買金額を確定する契約があります。実測後の面積差を売買代金へ反映する「実測精算」を設けるかも、契約内容によって異なります。
そのため、面積差が分かったら「広いから得」「狭いから損」と先に決めず、売買対象の範囲と契約上の面積基準を確認します。境界が未確認なら、買主へどの資料を示すかも契約前に整理してください。
- 公簿面積と実測面積のどちらを売買の基準にするか確認する
- 面積差を精算する条件と単価の決め方を契約書で確認する
- 測量、境界確認、地積更正の実施者と費用負担を確認する
相続後に売却を予定している場合も、登記識別情報や相続関係書類だけでなく、地番ごとの登記事項証明書、課税明細、境界資料、現地写真をまとめます。資料がそろっていなくても、不足しているものを一覧にすると相談が進みやすくなります。
山林の面積差は資料と境界の前提から整理する
登記面積と実測面積の差だけで、どちらかが誤りとは決められません。まず登記記録、図面、過去資料、現地を照合します。境界点と測量目的が同じかも確かめてください。
筆界と測量成果が確認でき、登記地積を直す必要があるなら土地家屋調査士へ地積更正を相談します。筆界が分からない場合は管轄法務局の筆界特定制度、売却する場合は契約上の面積基準と精算条件を確認するのが次の順番です。

