山林の「林種」は、人工林・天然林・竹林など、森林の成り立ちや状態を整理する区分です。林種は山林の状態を知る手掛かりですが、林種だけで査定額は決まりません。
最初に、納税通知書や登記事項証明書で対象地の地番を確かめます。そのうえで空中写真と森林簿・森林計画図を見比べると、林種や樹種、林齢の手掛かりを集めやすくなります。
ただし、写真の見え方や森林計画図の区画線だけで、林種や所有権界を確定することはできません。資料と現地が食い違う場合や、保安林などの規制が分からない場合は、所在地の自治体の林務担当や森林組合へ確認します。
分からない項目は無理に埋めなくても構いません。確認できた情報と未確認の点を分けておくことが、査定や管理の相談を具体的に進める準備になります。
もくじ
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人工林・天然林・竹林の違いを比較
三つの林種は、成り立ちと必要な手入れが異なります。まず表の4項目を見比べ、手元の山林に近い特徴を確認しましょう。
| 林種 | 成立・見た目の手掛かり | 価値を見る点 | 管理上の注意 |
|---|---|---|---|
| 人工林 | 植栽木が列状にそろいやすい | 樹種・林齢・材積・品質 | 間伐履歴と搬出条件 |
| 天然林 | 樹種や高さが混じりやすい | 材の用途・立地・需要 | 規制と利用目的 |
| 竹林 | 竹が密集して広がることがある | 管理状態・搬出・需要 | 周辺への拡大と再生 |

表の特徴は候補を絞るための目安です。針葉樹があるだけで人工林、広葉樹があるだけで天然林と決めず、植栽の記録や森林簿、現地の状態と照合します。
人工林は人が植えて育てる森林
人工林とは、木材生産などを目的として人が植林し、間伐などの手入れを続ける森林のことです。一般にはスギやヒノキなどが多いものの、針葉樹林と人工林は同じ意味ではありません。
同じ樹種が一定の間隔で並び、幹の太さや高さがそろって見えることがあります。もっとも、手入れの中断や広葉樹の侵入によって、植栽当初の整った見た目が分かりにくい山林もあります。
天然林は自然の更新で成立する森林
天然林は、人が植えたのではなく、自然の更新によって成立した森林です。複数の樹種や樹齢が混じりやすい一方、過去に伐採や薪炭利用などで人の手が入った森林もあります。
天然林だから手つかずとは限りません。木材利用だけでなく、立地や景観、保全目的など、買い手が想定する用途によって見られる点が変わります。
竹林は管理状態と広がりを分けて見る
竹林は、人工林・天然林とは性質が異なるものとして扱われることがあります。登記上の地目が山林でも、現地が竹林なら、竹の密度や枯れ竹、周辺への広がりを別に確認します。
手入れされている竹林と、地下茎が周囲へ伸びている竹林では、整備負担が異なります。地上部を伐採しても再生することがあるため、売却前の一度の伐採だけで状態が解決するとは考えない方が安全です。
林種だけで山林の価値は決まらない
林種が分かっても、その情報だけで価格を判断することはできません。査定では、地上の立木と、土地・搬出・規制の条件を分けて整理します。
立木は樹種・林齢・材積・品質を見る
人工林では、木材として利用できる樹種か、どの程度の量があるか、伐採時期や品質がどうかを確認します。林齢だけでなく、幹の太さ、曲がり、枝打ちや間伐の履歴も判断材料です。
山林の売買では、土地の条件だけでなく立木の価値が価格に影響することがあります。樹種・材積・搬出条件・市況など複数の要因が絡み合うため、「人工林だから高く売れる」という単純な話にはなりません。
- 主な樹種と、複数樹種が混じっている範囲
- 林齢・本数・材積が分かる資料の有無
- 間伐・枝打ち・伐採などの手入れ履歴
土地側は搬出条件・規制・需要を見る
木の量が多くても、林道から遠い、傾斜が急、作業車両が入れないといった条件では、伐採・集材・運搬の負担が増えます。接道の有無だけでなく、実際に使える道かを確かめる必要があります。
天然林や竹林も、地域の需要や買い手の用途が合えば評価対象になります。一方で、保安林などの指定がある土地では、伐採や土地の形を変える行為に許可・届出が必要な場合があります。
立木情報、搬出条件、管理状態、規制と需要を重ねて見ることで、林種だけの思い込みを避けられます。

自分の山の林種を確認する3段階
遠方の山林でも、いきなり現地へ入る必要はありません。次の順番で手掛かりを増やすと、確認できたことと未確認のことを分けやすくなります。
- 地番を確認し、空中写真で樹冠の並びや竹林の広がりを見る
- 森林簿・森林計画図で林種、樹種、林齢などを照合する
- 現地の状態を確認し、行政の林務担当・森林組合・山林取引に詳しい事業者へ分からない点を聞く
1. 地番を確認して空中写真で全体を見る
固定資産税の納税通知書、課税明細、登記事項証明書などから対象地の地番を確認します。地理院地図などで周辺の空中写真を表示し、道路、斜面、樹冠の並び、竹が密集して見える範囲を確認します。
列状の樹冠は人工林、色や高さが混じる樹冠は天然林、細い葉の密集は竹林の手掛かりです。ただし、季節、撮影年、解像度、混交状態によって見え方は変わります。
2. 森林簿・森林計画図で林種や林齢を照合する
都道府県が整備する森林簿では、対象地によって林種、樹種、林齢、材積などを確認できる場合があります。森林計画図と組み合わせると、どの林班・小班の情報かを探しやすくなります。
公開方法や申請先、必要書類は都道府県ごとに異なります。所在地の都道府県や市町村の林務担当へ、地番と所有者であることが分かる資料を用意して問い合わせます。
- 森林簿の記載内容を、現在の樹種・本数・材積の確定値として扱わない
- 森林計画図の区画線を、登記上の所有権界として扱わない
- 規制表示がある場合は、制度を所管する行政窓口へ指定状況を確認する
3. 現地と専門先で資料との差を確かめる
安全に立ち入れる状態なら、入口付近から樹種、幹の太さ、植栽の並び、枯損木、竹の広がり、作業道の状態を写真に残します。無理に急斜面や藪へ入る必要はありません。
樹種・林齢・材積や施業の相談は森林組合や林業事業体、規制や森林簿は行政の林務担当、売買条件は山林取引に詳しい事業者へ確認します。相談先ごとに質問を分けると、必要な答えを得やすくなります。
査定相談前に林種と一緒に整理する情報
査定担当へ「人工林だと思う」と伝えるだけでは、立木や搬出の条件が足りません。確認できた範囲を一枚にまとめると、相談を進めやすくなります。
- 所在地、地番、登記面積、所有者名義
- 人工林・天然林・竹林の候補と、判断に使った資料
- 主な樹種、林齢、材積が分かる資料
- 林道・作業道・公道からの距離と車両の進入状況
- 間伐、伐採、竹林整備などの履歴
- 空中写真、現地写真、森林簿・森林計画図
- 保安林などの規制について確認できたこと
すべてを確定してから相談する必要はありません。「森林簿では人工林、現地は未確認」のように、情報源と未確認事項を並べるだけでも、相手が次に調べる項目を判断しやすくなります。
林種の確認と価値で迷いやすい疑問
人工林なら天然林より高く売れますか?
判断点を先に確認します。林種だけでは決まりません。人工林でも樹種、材積、品質、手入れ、搬出条件、市況で評価は変わります。天然林も用途、立地、需要によって見られる点が異なります。
航空写真だけで林種を判別できますか?
林種の候補を絞ることはできますが、確定には向きません。撮影時期や混交状態で見え方が変わるため、森林簿・森林計画図と現地の状態を照合します。
竹林は売却できないのでしょうか?
竹林というだけで売却不可とは決まりません。管理状態、周辺への広がり、搬出条件、利用需要、規制を確認し、整備負担も含めて個別に判断します。
林種を入口に山林の価値条件を順番に整理しよう
人工林・天然林・竹林の違いは、山林の状態を理解する出発点です。ただし、林種の名称だけで、売却価値や管理負担を決めることはできません。
地番を確認し、空中写真で全体を見て、森林簿・森林計画図と照合します。その後、立木情報、搬出条件、管理状態、規制と需要を整理します。資料と現地が違うときは、行政の林務担当や森林組合、山林取引に詳しい事業者へ確認します。
分かることと分からないことを分けて記録するのが、確認を進めるコツです。林種を急いで断定せず、査定や管理に必要な情報を一つずつ増やしましょう。

